プラスチックリサイクルを革新する熱分解技術
2023年時点で、プラスチック製品のうちリサイクル素材から製造されたものはわずか 10%にとどまっていたことをご存知でしょうか? この状況は、バルメットがプラスチックのケミカルリサイクル技術 Valmet Pyrolyzerを導入したことで大きく変わろうとしています。
プラスチックは依然として私たちの日常生活に欠かせないものであり、それらをリサイクルすることは、世界的な持続可能性や循環型経済の目標を達成するための鍵となります。効率的なリサイクルを進めることで、化石燃料の使用を大幅に削減し、大気中へ放出される炭素を削減することができます。
従来、プラスチックはメカニカルリサイクルによって処理されてきました。この方法は、ビニール袋、バケツ、園芸用品などの製品の製造に必要なプラスチックを効率的に処理することができます。しかしながら、食品包装のような特定の用途に求められる厳格な品質基準を満たすことはできません。これに対し、ケミカルリサイクルは、リサイクルプラスチックの用途を大幅に広げることが可能です。
バルメットは、高速熱分解ベースの新しいプラスチックケミカルリサイクル技術の提供を開始しました。熱分解とは、酸素のない状態で、リサイクルプラスチックなどの原料をガス、液体、固体の残渣に分解する熱化学的な転換プロセスです。熱分解油として知られる液体成分は、プラスチックの製造工程に再投入でき、バージン品と同等の品質をもつ材料です。これらのリサイクルプラスチックは、接触に敏感な用途や、品質が特に重要な用途など、厳しい要件が求められる用途に適しています。

バルメットの革新的な社内試験設備およびパイロットプラントはフィンランド・Tampereにあります。新しい産業規模の熱分解プラントは 2027年に完成を予定しています。
「熱分解技術を用いることで、これまで処理が困難だった多層包装や汚染された材料、さらには混合プラスチック廃棄物でさえも新しいプラスチック製品向けの高品質な原料へと転換することが可能になります。」とバルメット 熱分解担当 プロダクトセールスマネージャー Pekko Marjomaaはまとめています。
数十年にわたる熱分解技術の専門知識
バルメットは熱分解技術の開発において長い歴史があり、その用途をケミカルリサイクルへと拡大することは「持続可能で再生可能な未来に向けて産業を変革する」というバルメットの目標を後押ししています。
バルメットの熱分解技術により、混合プラスチック廃棄物を高品質な原料へと変換することが可能になります。
「要約すると、当社の熱分解技術はリサイクル効率の向上をもたらし、厳格なプラスチックリサイクル目標を達成し、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)など、さまざまな種類のプラスチックを効率的にリサイクルします。Valmet Pyrolyzerは、当社が熟知している流動床技術に基づいています。高い信頼性と拡張性を備え、優れた柔軟性を発揮し、さまざまな運用セットアップに合わせ熱分解および触媒分解のプロセス構成を可能とします。」と、バルメット 熱分解担当プロダクトエンジニアArttu Tolvanenは述べています。

Arttu Tolvanenと Pekko Marjomaaは、ケミカルリサイクルによってリサイクルプラスチックの用途が大幅に拡大すると述べています。
バルメットの技術は、流動床システムが持つ優れた熱伝達により、単一ユニットで年間 10万トン(100 kta)を超える大規模な産業用処理能力まで拡張可能です。この拡張性により、設備投資および運転コストの両方を抑えつつ、経済的に成立する産業規模のケミカルリサイクルが実現可能となります。
「さらに、当社は包括的なライフサイクル・アプローチを採用しており、主要な技術や自動化システムからメンテナンスやスペアパーツにいたるまであらゆるものを提供し、お客様が循環型社会(サーキュラーエコノミー)の目標を容易に達成できるよう支援しています。」と Marjomaaは付け加えています。
産業規模のパイロットプラントが
投資判断を後押し
バルメットは、フィンランド・Tampereに革新的な社内試験設備およびパイロットプラントを保有しています。この研究開発センターの中核となっているのは、2023年に稼働を開始した世界最大規模の触媒バイオ熱分解パイロットプラントです。バルメットはこの設備を新しい産業規模の熱分解プラントへと拡張しており、ラボスケールでの試験とプラスチックリサイクルの商業展開との間とのギャップを埋めるインフラを提供することで実データに基づきお客様の投資判断を支援しています。この新しい産業規模の熱分解プラントは、2027年に完成予定です。
Valmet Pyrolyzerは、柔軟性に優れており、熱分解および触媒の両方のプロセス構成に対応することが可能です。
「この新しい熱分解プラントにより、大規模な投資を行う前に、多様な原料の検討、触媒の最適化、さらにはエネルギーと排出ガスの指標の検証を行うことが可能になります。当社の最先端技術と、お客様の実際のプロセスパラメータを組み合わせることで、安全かつ効率的で拡張性の高いケミカルリサイクルソリューションを強化し、真の循環型経済への移行を加速させます。」とバルメット エネルギー&サーキュラリティ部門 サーキュラリティ成長担当ディレクター Jaakko Martikainenは述べています。
要約:
バルメットは拡張性の高い技術、実環境での試験能力、そして包括的なライフサイクルサポートにより、お客様がプラスチック廃棄物の課題を、将来の競争優位性へと変革できるよう支援します。Valmet Pyrolyzerは、ケミカルリサイクルを身近なものとし、企業がより循環型で持続可能なビジネスを構築しながら、より厳格な規制要件を満たすことを可能にします。
熱分解によるEUのプラスチックリサイクル目標の実現に向けて
- 欧州連合(EU)は、2030年までに包装用プラスチックの 55%以上をリサイクルするという目標を掲げている
- また、EUは、食品包装に少なくとも 10%のリサイクルプラスチックを使用することを義務付けている
- この目標を達成するためには、欧州では年間約 250万トンのプラスチックをケミカルリサイクルする必要がある
- 熱分解は、これらの意欲的な目標、さらには 2040年までに 25%といったさらなる高い目標の達成に向けて重要な役割を担っている