新しい漂白ラインへのスムーズな移行

2019年6月19日水曜日

世界最大のパルプメーカーの新漂白ラインプロジェクトは、多くの面で期待を超え、記録的な速さで暫定的承認を受けた。優れたプロジェクト計画によるものだった。

The new bleaching line project

それは簡単なことではなかった。新しいパルプ漂白ラインを、Cenibra社のパルプ工場内の限られたスペースに設置しなければなかった。場所はブラジルの Minas Gerais州 Belo Orienteである。Cenibra社は漂白ユーカリパルプの世界最大の生産者の1つであり、年間約 120万 ADTを生産し、その 95%を輸出している。

困難な目標、そして記録的結果へ

年産 60万 ADTのこの新漂白プラントは、1977年に建設された旧プラントを更新するものである。このプラントを近代化する目的は、化学薬品、エネルギー、水の消費量の削減だけでなく、排水量を減らすことだった。

プロジェクトは、契約締結から生産立ち上げまでわずか 18ヶ月で完了した。もう1つの重要な目標は、旧漂白プラントに代わる新漂白プラントの立ち上げ時に、生産損失を最小限に抑えることだった。

現地 Cenibra社、フィンランドとスウェーデンのバルメット技術者たちのチームの相乗効果とノウハウを結集し、プロジェクト期間中の効率的かつ積極的な活動/問題解決は、記録的な結果となって報われた。新ラインの立ち上げ後 24時間以内に、このラインは生産損失のない、設計能力の 96%の稼働を達成した。

The new bleaching line needed to be next to the digester and the drying area

「私たち全員の意見は、主な課題がプロジェクトのレイアウトにあったことで一致しています。新漂白ラインは、ダイジェスターとドライヤエリアの隣に設置する必要がありました。」と話す Cenibra社のインダストリアルディレクター Julio Ribeiro氏

スペース効率がこの取引の決め手だった

振り返ると、成功はそのような複雑なプロセスで経験した課題を一つ一つ取り除いていくことから生まれる。「私たち全員の意見は、主な課題がプロジェクトのレイアウトにあったことで一致しています。新漂白ラインは、ダイジェスターとドライヤエリアの隣に設置する必要がありました。また、当時はまだ稼働していた旧1号ラインも同時に稼働しなければなりませんでした。」Cenibra社のインダストリアルディレクターである Julio Ribeiro氏は振り返る。

バルメットのプロジェクトマネージャーであるAgostinho Salgado Alvesによれば、契約の決め手になったのは、バルメットの機器サイズだった。利用可能なスペースが限られていた中で、これは検討課題の重要な要素であった。「限られたエリアを効果的に使用する必要がありました。」Alvesは言う。もう1つの重要な要素は、バルメットが提供する、魅力的な費用対効果率だった。彼はこう付け加える。「このプロジェクトへの投資は、長期的に大幅な運転コストの削減をもたらします。」

水、エネルギー、蒸気消費量の50%削減

1年後のその結果は良好で期待を満足させるものだった。「稼働開始からほぼ1年で、このラインは水、エネルギー、蒸気の消費量を 50%削減することができました。現在、化学薬品についても消費量を調整していますが、削減量はすでに大きなものです。」Cenibra社のCEOである Naohiro Doi氏がこう説明する。「ファイバーロスが減少し、一方で洗浄効率は向上しました。」

Naohiro Doi, CEO, and Julio Ribeiro, Industrial Director at Cenibra

Cenibra社 CEO  Naohiro Doi氏(左)とインダストリアルディレクター Julio Ribeiro氏は挑戦的プロジェクトのすべての段階をを追った

スムーズな移行

新3号ラインは、旧1号ラインが稼働を続ける中で建設された。新漂白ラインに移行する際に掲げた目標の1つは、生産への影響を最小限に抑えることだった。「私たちはこの期間を学習曲線と呼びました。このプロジェクトでは、新漂白ラインが設計生産レベルに3日以内に到達したので、この曲線はほとんど無きに等しいものでした。」Alves氏は報告する。

「スタートアップのために、旧生産ラインを一旦12時間停止しました。最後のシステム接続を行い、分散制御システム(DCS)プログラムを搭載するためでした。その結果、作業過負荷や予定外の生産損失はありませんでした。」彼はそうまとめる。

Cenibra社のプロダクションマネジャーである Leandro Dalvi氏によれば、当初の計画では学習曲線として 30日間が含まれていた。「それだけでなく、バルメットと共に行った試験によって、私たちはすでに目標を達成していました。」彼は説明する。利用可能なエリアを考えると、最終結果は驚くべきものであった。Dalvi氏は次のように述べる。「それは信じられないことでした。しかし機器は現在、さらに新しく柔軟になっています。私たちはもっと多くのことが期待できます。」


新ラインは設計能力の 96%の稼働を達成した。”

安定したパートナーシップ

Cenibra社の産業委員会査定人である Flávio Marcelo Correia氏にとって、このパートナーシップがプロジェクトの成功の鍵であった。また、バルメットから得た他のグループ企業における良好な参考事例もプラスの形で貢献した。彼は言う。「バルメットの技術者による専門知識、そしてフィンランドとスウェーデンチームからの支援も、即応性を持った技術サポートの提供と問題解決の上で重要なポイントでした。」

Cenibra社のプロジェクトコーディネーターである José Manoel Leite Neto氏によれば、バルメットの支援こそが、このパートナーシップの主な貢献要因の1つだった。彼は言う。「スタートアップ後、バルメットは Cenibra社と共にラインのパフォーマンスを追跡し、調整に必要なサポートを迅速かつ断定的な方法で提供しました。」

2号ラインにおける継続的な協力

この共同作業の成功後、1995年以来稼働している漂白 2号ラインの近代化についても、バルメットと Cenibra社はパートナーシップ契約を結んだ。この近代化についても、前回プロジェクトと同様のメリットを得るために、加圧型ディフューザーをウォッシュプレスに置き換える。「私たちの目的は、生産能力を高め、プロセスを改善し、当社の競争力を高めることです。」Cenibra社の CEOである Naohiro Doi氏はそう語る。

南米バルメットのファイバーライン担当セールスマネジャー Igor Panassol氏にとっては、このプロジェクトは、バルメットの技術と供給能力に対するお客様の信頼を表すものだった。「新漂白ラインに関する前回プロジェクトで、Cenibra社が得た素晴らしい結果、そして私たちの素晴らしい協力関係が、このプロセスに不可欠でした。お客様は、保守およびランニングコストの面で、このプロジェクトから恩恵を受けるでしょう。」彼はそう語る。

本記事は広報誌 Forward magazine 2/2019に掲載されています。